宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

2022.12.13 コラム

2021年10月、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。

これまで取引対象の不動産で生じた「人の死」は心理的瑕疵に該当します。

しかし、宅建業者による適切な調査や告知にかかわる明確な基準は存在していませんでした。

 

これを踏まえ、国土交通省において「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」を開催し、

不動産において過去に人の死が生じた場合において、

宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき業務の解釈について、

学識経験者による議論を行い、その判断基準となるガイドラインを作成しました。

 

今回のガイドラインでは、過去に「人の死」が生じた物件については以下の告知の基準が定められました。

「宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない。」

この原則をふまえた上で、取引の相手方等へ告知義務が不要な場合は以下の通りとなります。

1.対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、入浴中の溺死など)
※ただし、特殊清掃等が行われた場合については告知が必要。

2.対象不動産の隣接住戸、あるいは日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した1以外の死と、特殊清掃等が行われた1の死

 

賃貸借取引については、1.2に加えて、以下の場合も告知が不要となりました。

3.対象不動産、あるいは日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した1以外の死と、特殊清掃等が行われた1の死について、事案発生から3年間が経過した後は告知の必要はない。

売買取引の対象となる不動産物件の場合は、参照すべき凡例や取引実務等が十分に蓄積されていないことから、事案発覚からの経過期間の目安はなく告知する必要があります。

なお、宅地建物取引業者は、原則として、売主・貸主・管理業者以外に自ら周辺住民に聞き込みを行ったり、インターネットサイトを調査するなどの自発的な調査を行ったりする義務はないと考えられます。

 

参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」、

日本不動産協会埼玉県本部・公益社団法人不動産保証協会埼玉県本部

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